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ポルトガルの女

2015年07月10日 10:52

それははっと目が覚めるような出会いだった。(語り風)
3ヶ月ちょい過ごしたモロッコを去ることになり、マラケシュからスペインのアンダルシア地方、セビーリャへ。
内陸のセビーリャは、マラケシュの数倍も暑かった。先週の最高気温53度。
空港から町の中心へ出るバスを探し、バス停に並ぶ列の前にいた女性に
「これ空港行きですよね?」
とスペイン語できいたところから何となく会話がスタート。
彼女は白い麻のパンツに茶色いノースリーブのセーター(しかもハイネック!)を着て、髪をスッキリと後ろでまとめ、涼しげなサンダルを履いていた。ちょっと古風、といえばそんな気もしたけれど、顔も雰囲気もジュリアロバーツ似で、女優みたいな雰囲気。だらっとしたインド服を着た、貧乏旅行者のわてとは偉い違いだった。
彼女はポルトガル人で、フリーのホテルマネージャーをしているという。今はモロッコやモザンビークに長期滞在して働くことが多いといっていた。
「わー、かっこいい!キャリアウーマンって感じじゃん!」
彼女は英語も流暢だった。私より3つ年下の39歳。

そして彼女も私も、自分の国に拠点となる部屋やアパートがない、という共通点を見つけると、ぐぐぐっと親近感がわいた。今やりたいことやりたくないこと、行きたい場所欲しいもの、会いたい人会いたくない人……。
わずか20分ほどのバス移動中に何度も意気投合して手のひらをタッチしあい、

笑いながら話していると初めて会った気がしなかった。もっと時間があればねー。
セビーリャ市内のバスターミナルに着くと、そこからさらにバスでポルトガルのファーロまで行くという彼女を見送った。


「バスが出るまで15分ある。一杯飲む時間あるわよ!」


私たちは大急ぎでバスターミナルのバーに入った。彼女は3つもスーツケースを持っていたが、バーのドアを片手で開けた状態のまま支え、もう片方の手でスーツケースを転がし入れたりするのに慣れていた。とにかく、ラマダン中のモロッコにいた私たちは、ふたりとも冷えた生ビールに飢えていたのだ。


「おーーーっ、こんな美味しいビール飲んだの初めて!」


そして私たちはいつかまた会う約束と、私は今年の夏を絶対に楽しむ約束を彼女にさせられたのだった。
「いーい?セビーリャの大聖堂の前でフラメンコを見ながらビールを飲むのよ。今日、今夜から楽しむのよ!」

本当に、まじで、初対面の相手とあんなにうまいビール飲んだの初めてだったよ。いったい誰だったんだあの女は。。。

チャオ♪

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